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アリババのスーパー「フーマーフレッシュ」が顧客を満足させる3つのこと

UPDATE: 2019.6.27

AmazonがWhole Foodsを買収し事実上の冷蔵物流を確保、無人店舗のAmazon Goを展開するなど、アメリカではオンラインとオフラインの革命がおきています。アメリカ以外でも中国ではEC最大手アリババグループが出資するフーマーフレッシュ(盒馬鮮生/Hema Fresh)を中心にニューリテール(新しい小売)が誕生しています。

この記事ではアリババが展開するスーパー”フーマーフレッシュ”に実際に訪れ、顧客を満足するために行なっている施策をレポートしていきます。

 

フーマーフレッシュ(盒馬鮮生 / Hema Fresh)とは?

フーマーフレッシュ はアリババグループが出資するスーパーマーケットです。見た目は日本でいうとイオンスーパーのように敷地面積もあり生鮮食品が豊富なスーパーマーケットです。

2016年に上海に1号店を出店し、2019年現在中国国内に100店舗以上オープンしています。

 

フーマーフレッシュの特徴とは?

ニューリテールと呼ばれるフーマーフレッシュは何が新しいのでしょうか?主な特徴をあげていきましょう。

 

オフラインとオンラインの融合!

1番の特徴は、スーパーの顔をした物流倉庫としての存在です。フーマーフレッシュは実店舗でありながらオンライン(EC)でも購入ができます。ポイントはEC最大手であるアリババが実店舗を3年間で急激に増やしているところでしょう。2020年までには2,000店舗の出店を目指していると発表されています。

これはAmazonのWhole Foods買収の動きと非常に似ています。中国でのEC利用率は高いものの、生鮮食品をECで買う概念が一般消費者にはありませんでした。そこをカバーしていくために冷蔵物流チェーンの確保を実店舗スーパーの出店で果たしたといえます。2016年には1号店を出店しているので、少なくとも2015年以前から構想があったと読み取れます。

つまりフーマーフレッシュは実物を見て購入できる実店舗でもあり、オンラインでも購入できる2つの側面を持っています。

 

速やかなデリバリーシステム!

消費者にとって1番革新的な特徴はデリバリーシステムです。各店舗から半径5km圏内であれば30分以内に配達することを保証しています。この場合「注文確定後30分以内」というのが大きなポイントでしょう。

 

新鮮で安全な食材を可視化!

店内で1番印象的なのは巨大生簀(いけす)に入った新鮮な魚介コーナーです。中国人にとって新鮮な魚介類か否かは購入時の重要ポイントです。

また、経済力が上がるにつれて食の安全性についての意識がどんどん上がっている、中国の実態が背景にあります。この生簀から生きた魚介を購入できるのは、安全な食品を購入したい中国人にはとても相性のよい顧客体験なのです。

 

店外と店内の専用アプリ!

 

フーマーフレッシュには専用アプリがあり、店外にいる際はECサイトとして起動し、店内に入ると店内モードに切り替わります。

店内モードで何ができるかというと、各食材のバーコードをスキャンしてその食材の情報が見ることができます。

 

先ほどお伝えしたように、中国人の食の安全性に対する意識は農作物も加工食品も同様です。例えばメロンのバーコードをスキャンすれば生産地の情報が出てきます。

 

 

カニなどの魚介類を含め全ての食材に産地情報がアプリ内で見ることができます。

 

そして支払いはAlipay(アリペイ)にてセルフレジで済ませます。

 

 

顧客を満足させるために行なっていることとは?

ここまで実店舗とECを融合したフーマーフレッシュの特徴をあげてきました。一部内容は重複しますが、実店舗で顧客を満足させるために行なっていることをまとめていきましょう。

 

購入後のイメージを膨らませる

 

専用アプリの特徴に食の安全性を伝えるコンテンツがあるとお伝えしました。それにプラスして食材を使ったレシピの紹介が同ページでそのまま見ることができます。

このアプリとの連携はとても重要です。実際店舗で食材を目にし、その食材によってどんな料理をどんな人たちと楽しめるのか想像ができることによって、購入検討の負荷が一気に下がり購入しやすくなります。

産地情報やレシピ情報などのコンテンツを各食材ごと全て用意する緻密さ、小売がコストをかけて行うところが凄いのです。ECとのリソースをうまく配分しているのでしょう。

 

購入したものを30分でデリバリーする

購入後に重い荷物を持って帰る必要がないのも顧客満足度をあげる重要ポイントです。前述した通り5km圏内であれば30分でデリバリー可能というスピード感はフーマーフレッシュならではです。

どうやってその短時間を可能にしているかというと、以下の2つのことがあげられます。

  • 店内の天井をカートが走る
  • 店外に配達員が常に待機している

 

なんと店内には天井伝いに袋状のカートが走っている光景が見られます。店員がピックアップした食材を店内のリフトにかけてそのまま自動で配達員のところまで運ばれます。

 

そして配達員は常に外に待機しているので即デリバリーが可能です。中国での配達員の賃金は日本の3分の1と言われているので安価なデリバリーが可能ですが、この物流時間の壁をこわすための努力が垣間みれます。

 

購入したものがそのまま食べられるレストラン

日本でも複合施設であるモールでフードコートをよく見かけますが、スーパーマーケットがレストランを用意していることはまれです。

フーマーフレッシュにはフードコートがついているのでファミリーフレンドリーです。そして購入した食材をレストランで調理してもらえるという体験もあります。生簀から取り出したお魚やエビをそのまま新鮮なまま調理してもらえるのは大きな顧客体験でしょう。

 

まとめ

以上が実際に足を運んでユーザー目線で体験したレポートです。フーマーフレッシュの大きな特徴はオンラインとオフラインの融合ですが、来店した消費者に対して、顧客体験の向上のため様々な施策を行なっていました。

産地情報や商品ストーリーなどは実際に購入検討の大きな判断材料になります。そのコンテンツ制作と、最適なプラットフォーム(この場合手持ちのスマホのアプリ)で提供するEC大手アリババの強みが活かされているニューリテールです。

余談になりますが、逆をいうとそのような付属情報がないと中国でものが売れなくなることが予想されます。消費者心理然り、小売側に商品の採用がされなくなるでしょう。日本のメーカーは今後その点を理解しておく必要がありそうです。

以下今回訪れた上海のフーマーフレッシュの店舗情報です。

【住所】
Haichao Road and Gujiating Road Intersection South 100 Meters, Huangpu
Shanghai China

南浦大桥(Nanpu Bridge)から徒歩2分ほどです。